其の二十二
時間について
現代の1時間というのは、1日を24等分して、その24分の1を1時間と定めている。
これを定時法という。
昔の一刻(いっとき)というのは日の出を明け六つとし、日没を暮れ六つとした。
暮れ六つから明け六つまでを6等分して、これを夜の一刻、明け六つから暮れ六つまでを6等分して、これを昼の一刻とした。
これを不定時法という。
したがって冬など夜の長い季節では昼の一刻よりも夜の一刻の方が長く、逆に日の長い夏などは昼の一刻の方が夜の一刻よりも長いことになる。
庶民は時計は持っていない。
我々が夕方6時を知ることと、昔の人が暮れ六つの鐘を聞く時とでは、その景色は違うことになる。
暮れ六つの鐘がお寺からゴーンとなれば、それが夏であろうと、秋であろうと、その時が太陽が地平線に沈んだ時である。
その瞬間からとっぷりと暮れることとなる。
また明け六つの鐘も同様にゴーンとなるのを合図に太陽が地平線上に昇るときである。
だから昔は「この頃は日がのびて、六つになってもまだ明るい」などという発想はない。
それじゃあ雨の日はどうしてたのかという疑問が湧いてくるが、基本的には「まあ大体こんなものか・・・」と鳴らしていたようである。
線香を燃やしたり、和時計や大名時計もあることはあった。
数え方は明け六つから、五つ、四つ、九つが正午で、次が八つ、七つ。
そして暮れ六つ(入相、いりあい)となって、同じく五つ(初夜、初更)、四つ(二更)九つ(三更、後夜)が夜の12時で、続いて八つ(四更)、七つ(五更)、明け六つとなる。